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改めて言っておくけど、俺と奏が同棲してるのにはちゃんとした理由がある。
奏の祖父――舟雨(しゅう)さんが入院の為に島を離れ、結局心配になった奏の母……明日美(あすみ)さんがその後について行き、その過程で俺のもとへ奏が転がり込んで来たワケで。
……あれ、ちゃんとした理由――というか、これって曰わく折衷案と言ってもいいくらいだよね?
奏「……陽向、どうしたの?」
陽向「っ!……いや、何となく頭をよぎったから――な」
奏「?」
何がよぎったの?と言わんばかりの表情で、奏はウインナーをくわえたまま首を傾げている。
言ってもいいんだけど、俺からすれば正直、説明しづらいもので。
なんて言うのかな……うーん……
陽向「………………」プスプス
奏「ちょ、陽向!?頭から煙出るほど考えないで!というか、そんなに説明しづらいモノなら言わなくてもいいよ!?」
陽向「う……そうか?」
奏「正直すっごく気になるけど、頭がパンクしちゃ元も子もないから。陽向が壊れたらダメだし……」
陽向「……それは、個人的な理由か?」
奏「なっ///違……わ、ないか///」
陽向「本当に正直だよな。自分に関してはさ」
なんというか、欲に忠実というか、逆らえなさすぎというか。
なんにせよ、もうちょい包む必要があると思う。オブラートみたいに薄くてもいいから。
今の奏はさらけ出しすぎだからな。隠す気が毛頭ないというか。……単に、天然なだけだろうけど。
陽向「……とにかく、さっさと食べてしまえよ?」
奏「あ、もうこんな時間だ!」
陽向「だから言ったんだよ。進級して早々に遅刻したくないからな」
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