♭0・新たな始まり

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‡ 改めて言っておくけど、俺と奏が同棲してるのにはちゃんとした理由がある。 奏の祖父――舟雨(しゅう)さんが入院の為に島を離れ、結局心配になった奏の母……明日美(あすみ)さんがその後について行き、その過程で俺のもとへ奏が転がり込んで来たワケで。 ……あれ、ちゃんとした理由――というか、これって曰わく折衷案と言ってもいいくらいだよね? 奏「……陽向、どうしたの?」 陽向「っ!……いや、何となく頭をよぎったから――な」 奏「?」 何がよぎったの?と言わんばかりの表情で、奏はウインナーをくわえたまま首を傾げている。 言ってもいいんだけど、俺からすれば正直、説明しづらいもので。 なんて言うのかな……うーん…… 陽向「………………」プスプス 奏「ちょ、陽向!?頭から煙出るほど考えないで!というか、そんなに説明しづらいモノなら言わなくてもいいよ!?」 陽向「う……そうか?」 奏「正直すっごく気になるけど、頭がパンクしちゃ元も子もないから。陽向が壊れたらダメだし……」 陽向「……それは、個人的な理由か?」 奏「なっ///違……わ、ないか///」 陽向「本当に正直だよな。自分に関してはさ」 なんというか、欲に忠実というか、逆らえなさすぎというか。 なんにせよ、もうちょい包む必要があると思う。オブラートみたいに薄くてもいいから。 今の奏はさらけ出しすぎだからな。隠す気が毛頭ないというか。……単に、天然なだけだろうけど。 陽向「……とにかく、さっさと食べてしまえよ?」 奏「あ、もうこんな時間だ!」 陽向「だから言ったんだよ。進級して早々に遅刻したくないからな」 ‡
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