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陽向「奏、早くしろよ!」
奏「お待たせっ!……ん~~っ!スゴくいい天気♪」
陽向「そうだな……」
雲一つない快晴の空を見上げ、俺達はちょっとの間、何もないそこを瞳に映していた。
すると、
ヒカリ「ワンッ!」
陽向「うわっ!ヒカリ!?」
奏「朝から元気いっぱいだね♪」
ヒカリ「ワフ♪」
ヒカリっていうのは、去年のちょうど今頃、俺のもとに転がり込んできた赤毛の柴犬の事。
人懐っこく、それでいて子犬独特の元気な振る舞いは、見てる人を癒やしてくれる――そんな気分にさせてくれる。
奏「ヒカリちゃんも一緒に行こっ♪」
ヒカリ「ワフ?」
陽向「お前はバカか!」
奏「ヒドい!?」ガーン
ヒカリ「……!」ガーン
陽向「……なあヒカリ、本当に分かってんじゃないの?」
ヒカリ「?」
……たまに、ほぼ完璧なリアクションをするから、人の魂でも入ってんじゃないかとも思う。
まあ、並以上に感性が強いって事で、俺や奏は理解しているんだけども。
陽向「……ほら、ヒカリはいつも通り、留守番頼むな?」
ヒカリ「ワンッ!」
奏「頷いたね……」
陽向「いちいち気にしてたら頭パンクするぞ。……ほら、時間もあまりないし」
奏「わ、本当!よっし、陽向!どっちが早く船着場に着くか、いざ……れっつごぅ♪」
陽向「ちょ、待て!」ガシッ
奏「ぅきゅ!」
陽向「お前はそう言って転けるだろ!それを気にして走れねえよ!」
奏「だ、だからって襟首を掴んで引き止めないで!//変な声が出て恥ずかしいから!//」
陽向「いや……つい、な」
変じゃないよな。可愛いよな、うん。
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