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ここは紡刻(ぼうこく)島。日本本土から南に位置する孤島で、2つの大小ある島から成り立っている。
ちなみに、その小さい島――海離(かいり)島に、俺達が通っている高校を含んだ学校が建っている。
夕方に一度潮が引くと現れる『干潮(かんし)の道』と呼ばれる干潟があるけど、通学時間帯にそれは現れないから、移動手段は3本程度しかない船で行き来している。
その船にギリギリで間に合った俺達は、息を整えながら乗り込むと、待ってましたと言わんばかりに急発進した。
奏「きゃあ!?」
陽向「危ない!」ガシッ
船内へと降りる階段の途中にいた奏が反動でバランスを崩したのに気付いた俺は、その右腕を半ば強引に引いて体で受け止めた。
危ないな……ギリだった俺達にも非はあるけど、怪我なんて勢いじゃなかったぞ今の。
「相変わらず超人的な反射神経してんな?俺にも教えてくれよ♪」
陽向「全力で断る」
「――だが」
陽向「断る」
「……せめて最後まで言わせて?心折れちゃう」
陽向「そのつもりだが」
「進級早々切れ味抜群だなオイ!」
陽向「泣くなよ」
……とまあ、コイツは親友――悪友?の蟹群 渉(かむら わたる)。
年から年中テンション高く、余計な事を言ってくるから折ってやっても、挫けずまた繰り返す。
ただ単にドMなんだよな、コイツは。
渉「俺の説明が雑!せめて多少の美化を!捏造を!」
陽向「どっちもダメだろ」
渉「はっ!」
陽向「お前バカだろ。ていうかバカだよ。というか罵架(ばか)だろ」
渉「最後なに!?罵られて架けられるの!?何ソレ興奮する!//」
陽向「純粋に頬染めんな。キモい」
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