第一話 【EARTH】

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部屋のドアが開き、拓海が入ってくる。そのまま机の前の椅子に乱暴に座り込んだ。 また溜め息をつく。 手を伸ばして、棚から一冊の分厚い本をとった。 「…『空想と現実を結ぶ方程式』……か────。」 この本のタイトルだ。これは拓海の父がよく読んでいたらしい。本の裏表紙には父の名が記されていた。 パラパラとページをめくる。 何回か読んだので、大体の内容は知っている。 が、科学者である父が、どうしてこんな『空想』という題で書かれた本を読んでいたのが全く分からなかった。 拓海は本を閉じ、棚にまた戻した。そして、自分のベッドに横たわった。 「…これからどうしようかな…」 軽く呟いた。薄暗い天井がさらに暗く見える。 拓海はそのまま眠りに落ちた。
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