第一話 【EARTH】

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拓海は居心地が悪そうだった。 それもそうだろう。なぜなら、隣に(とは言っても、机同士が密着しているわけではないのだが)全く知らない人間…芽生が座っている上に、他の女子が芽生に様々な質問などをするために、拓海の耳元が終止ざわついていたのが実に不快だったからだ。 逆に男子は近づきたがらないようだった。多分、自己紹介での第一印象が余り良くなかったのだろう。 隣では、相変わらず芽生が質問されていたが、彼女は先程と同じように、そっけない態度で質問をかわしていた。 拓海はまた窓の外を見た。いつもと変わらないどこまでも続く青い空。 とはいっても、船の中なのでいつかは壁に突き当たるのだが。 「拓海?どうした?外になんかあんのか?」 不意に蓮に話しかけられた。拓海は「うん」とだけ言うと、ずっと窓の外を眺めていた。 やがて休み時間も終わり、授業が始まった。 芽生はどこの学校から来たかは知らないが、授業にはついてきているようだった。 拓海は今日は授業に身が入らず、ボーッとしていた。
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