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拓海は帰宅し、いつものようにゴロゴロしていた。
漫画を読んだり、ゲームをしたり、授業の復習をしたり。
だが、それにも飽きて、ベッドに寝転がり、天井をじっと見ていた。
と、机の上に置いていた携帯電話が鳴った。
ベッドから起き上がり、面倒くさそうに机まで歩いていき、電話をとった。
通話ボタンを押し、電話を耳元に持っていくと、よく聞き慣れた声が聴こえてきた。
《よう拓海!》
「…蓮か。」
電話の相手は蓮だった。蓮はメールの機能をあまり使わない。理由は定かではないが。
「で、何の用?」
拓海が訊いた。
《あのさ、お前、今度の日曜日って暇?》
「あぁ、暇だけど…。それがどうした?」
《いや、暇なら遊ぼうぜ!なんか最近つまんなくてさ。》
電話の用件は遊びの誘いだった。が、拓海はあまりそういう気にはなれず、
「…ごめん、その日やっぱり無理だ。」
と、嘘をついた。
蓮の方は《そうか、じゃあまた今度な!》とだけ言うと、電話を切ってしまった。
別に悪気があって『行けない』と言ったわけではない。単に気分が乗らなかっただけだ。
拓海はまたベッドに横たわり、天井を見上げた。
そこからの記憶は、あまり無い。
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