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一人の男が夜の森を走っている。
森といっても、宇宙船のなかなので、人工の森だ。
その男の容姿は、黒いスーツに身を包み、メガネをかけている。
そう。拓海が帰り際に校門の前で見た男だ。
その男は、額に汗を浮かべている。
それも、走る疲労による汗ではなく、焦りからくる汗。
男は焦っているようだった。
やがて男は、ある場所にたどり着く。ここら一帯はなぜか木が生えていない、不思議な空間だった。
すると男は、地面を素手で掘り始めた。みるみるうちに手が土色に染まる。
男はしばらく穴を掘っていたが、ある程度掘ったところで、手を止めた。
掘っていたのは入り口。
手を止めたのは見つけたから。
男の視線の先には、土まみれの、見るだけで頑丈だとわかるような扉が、地面に顔を出していた。
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