第一話 【EARTH】

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……………………………………… 「おーい!」 向こうから、笑顔の青年が走ってくる。それが蓮だということにはすぐにわかった。 「朝から元気だな、蓮。」 拓海は、皮肉に近い言葉を蓮に投げかけた。が、等の本人は全く気にする様子はなく、ただ笑いながら「悪い悪い!」とだけ言っていた。 今の時間帯の道路は、学生やサラリーマンなどの人々の通勤ラッシュで、町は賑わっていた。 拓海達が通う中学校は、宇宙船内にある数少ない(少ないと言っても、100校以上はあるのだが)学校の一つに通っていた。 町のど真ん中にあるので、交通機関が近くまで通っており、通学はしやすいのだが、朝は混むのがネックになり、徒歩や自転車の人も多い。 今日もバスは混んでいて、拓海達は歩いて学校へ向かっていた。蓮はいつもは会わないのだが、今日はたまたま会い、合流して学校へ向かっていた。 学校までは結構長い距離だが、地面にはベルトコンベアが設置されているので、長時間の歩行でも、苦にはならい。 優海は、やることがあると言って、先に学校へ行ってしまった。 あくびをしながら歩いていると、隣で歩いていた蓮が口を開いた。 「なぁ、拓海?昨日の夜のニュース観たか?」 「はえ?ニュース?」 話が唐突に切り出されたので、間の抜けた返事をしてしまった。蓮は苦笑いをしてから、話し始めた。
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