第一話 【EARTH】

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「ほんとに観てないのか?ほら、28地区に隕石が飛来したみたいだってニュース。」 「隕石が?」 拓海は、テレビはあまり観ないので、社会の状況などはセルラー(携帯電話)で確認していた。 が、昨日はニュースなどは観ている時間がなかったし、何より疲れていた。だからこの事を知らなかった。 「この船に隕石が飛来するなんて、初めてだって言ってたよ。地球にすんでるときはしょっちゅうだったらしいけど。」 「……………。」 その後も、拓海は蓮の話を黙って聞いていた。 蓮は、隕石が記録にはない形や物質で出来ていることや、どこから来たのかもわからない。など、ニュースで言っていたことを話して聞かせた。 その間ずっと、蓮の目は真珠のようにキラキラしていた。拓海は今まで知らなかったが、蓮はどうやらSF好きなようだった。 そうこうしているうちに、学校に着いた。 蓮は教室に入る前に、ふと、こう言った。 「まあ、今までに無かったことが突然起きたんだ。またなにかが起きても不思議じゃないな。」 拓海は顔をしかめた。 「そんな不吉なこと言うなよ。隕石が今度はもっとたくさん降ってきて、人類が滅亡…なんてのもあるってのか?」 それを聞いた蓮はニヤッと笑うと、 「いや?美人な女の子がたくさん降って来るかもよ?」 と、言った。 拓海は蓮の頭をパシッと叩くと、教室に入っていった。
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