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「おっおおお前!何でここにいるんだよっ!?」
とっさに口から出た言葉は、舌が回らなく、とても間の抜けた声となった。
驚く拓海とは反対に、芽生は無表情だった。
その様子を見た拓海は、少し落ち着いてきたようだった。
「──────る。」
「…え?」
急に、ボソリと芽生が呟いた。なんと言ったのか聞き取れないほど小さな声だった。
「─始まる。」
芽生はもう一度言った。
拓海は、芽生を何か変な物でも見るようにして言った。
「何が始まるんだよ?」
その時、爆音が響いた。
腹の底に響くような音。それは外から聴こえてきた。
拓海は窓に駆け寄り、外の様子を見た。
「なんだ……あれ。」
ズシン、ズシン、と音をたてながら、それは歩いていた。
「──始まる。」
芽生がまた呟いた。その言葉に反応して拓海が振り返る。
「だから何が!」
芽生は拓海の目を真っ直ぐ見て、言った。
「───終わり が。」
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