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その事件は【密室の凶器事件】として、今日広く知られているが、その当時は【魔の13号室事件】と呼ばれ、連日新聞のトップを賑わしたものであった。
事件そのものはいたって単純であったが、その単純さの中に最も複雑怪奇な謎が隠されていたのだった。
さて前置きはこれくらいにして、いよいよお話しするとしよう。
7月1日、日曜日の蒸し暑い朝のことだった。
僕は例のごとく、ベッドに寝そべって、S・S・ヴァン・ダインの【ベンスン殺人事件】を読んでいた。
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