公園の女

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さっきの光景を思い出し、夜風が吹き抜けた瞬間、背筋に寒気を感じて、家に飛び込み、リビングにいるはずの母の元へと駆け込んだ。   「ママァッ!」   飛び込んで絶叫するように呼び掛けた私に、テレビを見ていた母は、唖然とした顔で停止している。   「ゆゆ、ゆ、幽霊っ!幽霊見た!公園で幽霊見たっ!」   「何言ってんの。まだ、ちょっと明るいじゃない」   「本当だもんっ!スーッてすり抜けた!頭の中に入って来た!」   「見間違いでしょ。早くお風呂入りなさい。ご飯出来てるわよ」   「ウソじゃないよ!行こう!本当に見たんだから!」   「なにバカなこと言ってんのよ。あたしは忙しいの」   そう言うと、それ以上は聞かないと言うように、テレビに向き直って、返答してくれなくなった。   て言うか、テレビ見てるだけのくせに忙しいって、本当は怖いって事だろ。    
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