公園の女

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ランニングでかいた汗を流すため、先にお風呂に入るものの、目を閉じるのが怖くて、髪を洗う時も、顔を洗う時も必死に目を開けながら、背後に立たれないように、何度も体を反転させて、早々にお風呂を出て、眠る時間まで母と行動を共にして、鬱陶しいと言われて渋々、自分の部屋に向かい、テレビを点けて、気を紛らわせる。   けれどやっぱり、公園での事が浮かんでしまう。   どうして、あんなにハッキリ幽霊が見えたんだろう?   いや、「幽霊」の見え方なんて、決まってるわけじゃないから、あぁいう幽霊が居たって不思議じゃないんだろうし、実際、アレは幽霊だから、私は幽霊を見てしまったわけで、幽霊のいる公園なんて二度と使えないし、なんで幽霊なんかが、あの場所に居るのか、なんで私が幽霊を見てしまったのか、幽霊ってなんで見え・・・・   「ああぁぁぁぁっ!ダメだああぁぁぁ!幽霊が頭から離れないいいぃぃぃっ!幽霊いぃぃぃぃっ!あたしの頭から出てけよおぉぉぉ!南無阿弥陀仏!南無妙法蓮華経!南無大師遍照金剛!アーメンソーメン僕イケメーーーンッ!」   「ッルセェぞっ!冴子っ!」   突然、ドンッ!という音が、ベッド横の壁から響き、兄の怒鳴り声が聞こえた。    
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