公園の女

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夕方の公園。   そこは、遊具の無い、広場だけがある公園で、あまり子供が遊ぶ事も無い。   たまに、サッカーや野球をする子供がいるけど、そう毎日じゃないし、広場の周囲は木で囲まれ、外から見え辛くなっているからか、夕方になれば、ほとんど人もいなくなる。   ポツポツと設置されたベンチには、スーツ姿のサラリーマンがいたり、子供連れのママさんが2人いたりして、その中で私は、ランニング前のストレッチをしていた。   学校から帰って、陽が沈む前にランニングするのが日課で、その日も、ほとんど人のいない公園でストレッチしながら、ふと、1つのベンチに視線が止まる。   そこには、私と同じ高校の制服を着た女の子が座っていて、私が視線を向けると、フッと顔を逸らせて、見ていなかった素振りを見せた。   彼女の姿を初めて見たのは、確か、三日ぐらい前で、その時も、彼女は同じベンチに座っていた。   公園の入口のすぐ脇にある、木の下の日陰になったベンチ。   その時は、特に気にするわけでもなく、誰か待っているのかと思っていたし、翌日も、その翌日も、待ち人を待っていると思ってた。    
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