公園の女

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けど、よくよく考えると、彼女はずっと、あのベンチから動いてない。   私がココに来てストレッチして、町を一周してココに戻り、軽くストレッチして帰るまで、彼女はベンチに座っている。   私が帰った後、待ち人が来ているのかもしれないけど、走り始めるのが夕方だから、ココへ戻って来る頃には、大分陽も沈みかけているから、この公園、特に日陰になったベンチは、暗くなってるはずだ。   住宅街の中とは言え、女の子1人が、人目の少ない場所で待ち続けるのもどうかと考えながら、町を一周して戻って来ると、やはり彼女はベンチにいて、私と視線が合うとまた、見てないという素振りで、顔を横に向ける。   もう公園の中には、私と彼女しかいないんだから、別に目が合っても不思議じゃないだろうと、軽くストレッチした後、彼女が、ベンチに寝転んでいるのを見て、近付く事にした。   ベンチを独占するように眠りに就く態勢をとるって事は、まだ待ち人が来る時間じゃないと分かってるからかもしれないので、少しぐらい話し掛けても良いだろうと思って。   彼女も、私が毎日ココへ来ているのを気付いてるだろうし、そうなれば、顔見知りも同然。   「あの・・・・」    
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