夏みかんノ一

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ヂリリリリリリリリリリ 朝か… 目覚まし時計の耳障りな電子音で目が覚める。 リリリリリリリリリリっ-- 手を伸ばし時計の頭を力の入ってない寝起きの手で叩く。 音は鳴り止んだ。 そのまま時計の背中にあるアラームのスイッチを指でOFFにする。 「ふぁ~…ぁぁ……んっんん……」 大きなあくびをし、ベッドの上で伸びをする。 「ふぅ…」 今日も学校か… このままベッドにいたら二度寝してしまいそうで、急いで立ち上がり寝室を出る。 居間は静まり返り、ペタペタと足が出す音が響いていた。 こうして、いつもと同じ1日が始まる。 小学校三年の冬、ド田舎に住んでた俺は父の仕事の関係で都会に引っ越した。 まだ何もかも子供すぎた俺は、その生活にすぐに順応できた。 しかしその頃はまだ自分の才能を隠す事を知らず、全てをさらけ出していた。 その結果、中学に入った頃から「神童」と周りから呼ばれ始めた。 特別な事はしてなかった。 ただ授業を聞き流し、黒板に書かれた事をノートに写すだけだった。 気付いたときには周りの同級生からは一歩距離を離されていた。 その才能を恨んだ。 いじめこそ無かったものの、自分だけ浮いている存在だった。 中学三年で、担任と親の意見が一致したらしく、少し離れた進学高へ行く事を薦められ、反対する理由もなくそれを受け入れた。 合否発表- 通知を見ると『合格』の二文字。 別に特別な感情なんて湧き上がってこない。 テストは難しくなかったから。 高校に入って一人暮らしをする事になった。 少し楽しみだった。 今では楽しいが、面倒くさいも感じるようになった。
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