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とろとろと春の日射しが窓をすり抜ける。
日射しの先には、文庫本を意味なく捲る私と、貴方。柔らかな風に身を委ねながら、ゆっくりとカップを口に運ぶその姿に、思わず見惚れた。
しばらく見ていると、コーヒーカップをかき混ぜる貴方の右手がふと止まり、私の瞳を覗き込む。
「…どしたの、じーっと見つめて。…そんなに僕のこと、好き?」
そう言って私の頭をくしゅくしゅと撫で、悪戯っぽく微笑う。
赤くなった顔を見られぬよう、貴方に、顔を背けながら呟いた。
「別に…ただ、何か…」
「?」
私はいつもこうやって、貴方にからかわれてばかり。
だからこれは、せめてもの異種返しよ。
「…貴方と居ると、幸せだなぁって」
「!!…」
くるりと貴方の方を向いて、にこりと笑って見せる。
今度は貴方が、顔を背ける番だった。
「そ…だね。僕も幸せ」
耳まで染まった赤い顔。少し、満足した。
~幸せなんて、そんなもの。~
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