Episode:不快

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 二〇一二年二月三日。  その日、モバゲータウンに、糞尿倶楽部が誕生した。  時は遡(さかのぼ)る。  私は昔から、うんこやちんこと言ったネタが、好きである。  しかしそれらのネタは、誰もが快く笑ってくれるものではない。  モバゲータウンに、グラップラー刃牙と言うソーシャルアプリが配信されて、一ヶ月程が経った頃、私は、とあるサークルに所属していた。  私はそのサークルで、うんこやちんこのネタを、炸裂させていた。  そんなある日、サークル内での人間関係のトラブルが起きた。  私と、サークル内のマドンナ的位置に居た方との、ものである。  そのトラブルは、私のうんこやちんこのネタが、不快であるとの申し出から、始まった。  それまで、特に関係を悪くすることは無かったため、うんこやちんこのネタを反省して謝れば済むだろうと、考えていた。  しかし、話を訊いていると、かなり深刻なものであった。  謝った。  何度も謝ったが、既に見切りをつけられていた。  それを機に、私はサークルへの書き込みを控えた。  それから数日が経つ。  私は、ふと思う。 “確かに不快な思いをさせたが、私も不快だ”と――。  私は、一つのネタとして、うんこやちんこを本当に愛している。  愛しているからこそ、その私からしたら、それを不快に思われることが、不快である。  一見、ただの逆恨みのようだが、言いかえれば、“お前は社会のゴミだ”と、言われたに等しい。  確かに、向こうからしたら、不快に違いない。  悪者が非難を浴びるようなものである。  しかし、その悪者からすれば、非難を浴びせる者が不快であるだろう。  話は少し脱線するが、皆さんは過去に、テレビ等を観て“悪い奴はとことん痛い目に遭えばいい”と、思ったことはないだろうか。  私はある。  あるが、その考えは、悪者の持つ考えなのではと、ある日気付く。  つまり、表面上の部分しか知らずに、感情のままに非難を浴びせるのは、悪者だと、私は思う。  だから私は、うんこやちんこのネタが好きな者が、何も気にせずにそのネタを使えるように、糞尿倶楽部を興(おこ)したのだ。  こうすることによって、不快に思う者も不快に思われる者も居なくなる。
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