Episode:消滅

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 私の中で、糞尿倶楽部の存在が、当たり前になってきた頃だった。  それは、突然起きた――。  ――六月一八日。  私は、家に帰ってサークルの更新情報を見ていた。  しかし、不思議なことに、糞尿倶楽部の更新情報が載っていないのである。  私は、一頁(ページ)目から、再度確認した。  だが、それでも見当たらない。  可笑(おか)しいなと思い、所属サークルを見てみる。  糞尿倶楽部の名はあった。  私は迷わずリンク先を見た。  そこには、信じようにも信じ難(がた)い、最悪の事態が待っていた。 “解散申請済み”  サークルのトップには、赤文字でそう記載されていたのだ。  しかし待ち受けていたのはこれだけではない。  サークルトピックとアンケートが、全て削除されていたのだ。  私は、突然過ぎるその事態に、状況を掴(つか)めなかった。  モバゲータウンの運営からの、メールは無い。  私は、門下生に緊急招集をかけた。  とは言っても、門下生がその真相を知る筈(はず)もない。  私は、怒りと悲しみが交錯(こうさく)する中で、“何故このような事態に陥(おちい)ったのか”と、記憶を探った。  私自身の行動には何も問題は無かった。  私は、警告文が表示される単語は、投稿しないのである。  それに、問題視されるような画像も、貼り付けていない。  それは、門下生も同じであった。  私はその夜、ぶつけようのない怒りを、ひたすらに叫び続けた。  そして翌朝。  八時頃であった。  糞尿倶楽部は、昨日のままである。  九時頃になって、私は、再度糞尿倶楽部を訪れようとしたが、見当たらないのである。  またトピックが削除されたのかと思い、所属サークルを見てみるが、今度は所属サークルにすら無かった。  私は確信した。 “糞尿倶楽部が消滅した”と――。  それは、門下生も確信していた。  私はこの時、モバゲータウンの運営に殺意すら覚えた。  何故なら、糞尿倶楽部には様々なトピックと、そのレスがあったからだ。 “いざ入門” “憩いの場” “お悩み相談室” “脱糞の型” “放尿の型” “放屁の型” “糞尿拳の歴史” “糞尿拳開発室” “糞尿食堂”  それら全てのトピックを削除された上に、糞尿倶楽部そのものまでを抹消(まっしょう)されたのだ。  私は爆発しそうな憤(いきどお)りを抑え、再び、何が悪かったのかを思い返してみた。  その時、ふと頭を過(よ)ぎったものがあった。
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