Episode:消滅

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 それは、四月二二日のことであった。  私は、バキサーで見つけ出した自分の作品のリンクを、糞尿倶楽部とその支部に、貼って巡(まわ)った。  そして、支部の書き込みを見ていると、あるコメントを目にした。  その日の夜、その書き込みから、小規模の論争が勃発した。  私は、その論争には参加していない。  しかし、その論争の発端(ほったん)となった書き込みが、頭を過ぎった時、私は、疑問に思った。 “まさかあの男が、糞尿倶楽部を通報したのか”と――。  それに確証は無いが、私を含め、門下生の行動に問題が無い以上、そう疑うのは必然であった。  また、その男のそれと似た書き込みが、過去に二度あったことを、私は覚えている。  その男と、糞尿倶楽部の消滅が関係しているかは、現在も不明のままだが、私は、怪しいと睨(にら)んでいる。  それから私は、糞尿倶楽部の再建に努めようとしたが、何が原因で、糞尿倶楽部を消滅させられたか分からない以上、下手に動くのは危険と判断し、事実上の終止符を打った。  その期間、月日に換算して四ヶ月と一三日。  糞尿倶楽部はその記録こそ消えたが、我々の中では、今でも健在している。
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