M-1

2/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
  「あのさ。  あんまり、構わないでね」  すぐには分からなかった。  亮ちゃんが、何を言ってるのか。 「……え?」  聞き返したわたしに小さく笑ってみせてから。  するりと振り返り、向こうへ歩いていく背中。  その後ろ姿をぼんやり眺めていると。  耳に、頭に、亮ちゃんの言葉が、ゆらゆらと浮かんできて。  わたしは、やっと。  亮ちゃんの遠さを知った。  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!