平穏な日常の終わりと波乱な日常の始まり

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「…………」 時間はあっという間に過ぎ、無事放課後を迎えた。僕がクラスのみんなに質問責めにされたということを除いてだけど… 『晶とお別れは辛いよ……でもボクは部活生だから部活に出ないといけないの』 『ああ、行ってきなよ』 『…ねえ、今日夜這いに行ってもいい?』 『来るなよ!?いいか?絶対だ、絶対に来るんじゃないぞ!絶対だからな……そんなことしたら姉さんが口をきいてくれなくなる』 『…前フリ?』 『僕はどこのダチョウさんだ!?』 放課後には有紀は茶道部。 『じゃあ俺、部活に行くから!』 『ああ、行ってきなよ』 『やれやれ、レギュラーは疲れるぜ』 『玉拾い頑張ってね!』 『つかの間の夢を壊さないで!いきなり現実に引き戻さないで!?』 鉄平はテニス部へ。 友達の少ない帰宅部の僕は普段は必然的に一人で帰路につくのだが、 「……ちょっと!どうして私の後を付いて来るのよ!?」 それまで僕の前で黙々と歩いていた栗原がしびれを切らしたように急に振り返って怒鳴り散らした。 「仕方ないだろ?帰る家が一緒なんだし」 「く…!」 栗原は恨めしそうに僕を睨みつける……あの、怖いんですけど。 「じ、じゃああんたが先に行きなさいよ!」 「は…?」 「あんたが私の後ろにいると、その……き、気持ち悪いの!イヤらしい視線を背中に受けて…!」 いやいやいやいやいや! 「別にそんな目でみてないって…!てか、栗原が話しかけるまで僕、考え事してたし…」 「…なによ、私には魅力がないっていうの?」 顔を赤くしてまくし立ててた栗原だったが、今度はこの上なく不機嫌そうな顔で睨んでくる。 「……」 め…めんどくさい…… あんまりクラスの女子とは話したことはない(有紀は女に含まないし、姉さんは神だからそこらの女とは一緒にしない)けど、女子ってみんなこうなのだろうか……? 残念ながら女子とのコミュニケーション経験の乏しい僕には能力不足で栗原に対応しきれない。 「…とりあえず、僕が前に行けば視線とか気にならないだろ?」 僕はそう言って誤魔化して、不満げな栗原の口から文句がでる前に振り切るように歩き出す。 「…………生意気ね」 …やがて栗原も僕の後を付いて来るように歩き出した。 後ろからひしひしと伝わる不機嫌オーラを背中に感じながら僕は早く家に着くように歩く速さを上げた。
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