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僕が家の中に入ると、僕の後を付いて来るように栗原も中に入った。
家には僕達以外誰もいない。例によって姉さんは仕事中だ。
「……」
入ってすぐに、積み上げられた大量のダンボールを目の当たりにするが、僕には関係ないだろう……
そう思って、部屋に向かおうとしたのだが、
「ちょっと、そこのアホ面」
「アホ面じゃない!アッキーだ!」
「どうでもいいわ、あんたの名前なんて………HENTAIで充分ね」
なん…だと……
「それより、私の部屋に荷物運ぶの手伝いなさい」
「荷物って、そのダンボール?全部?」
「そうよ」
マジですか……二十はあるぞ。
「はあ……」
「ため息つく暇があるならキビキビ働きなさい」
仁王立ちで命令する栗原に苛立ちを感じた。
「……手伝うこと自体はべつに構わないけど、なんかえらそうだな」
「当たり前よ、私の方が年上だもの」
「…は?」
いや…同じクラスだけど。
「あんた……誕生日はいつ?」
…なんだ、唐突に……
「……十二月三日だけど」
警戒しながら答えると、なんとも生意気な表情で栗原は鼻で笑った。
「ほら、やっぱり。ちなみに私は五月生まれですでに十八歳になったのよ、だから年下のあんたは私を敬うことが当たり前なの!わかる?」
わかるかよ!そんなこと言ったら僕はクラスメートの半数以上を先輩みたいに接しなくちゃいけなくなるぞ!
「……はいはい、わかったよ」
どうやらこいつはまれにみるキチガイというやつだ。認知症の患者を相手にするのと一緒だ、口論で勝てるハズがない。
「生意気な態度ね……年下のあんたは年上の私に敬語を使うべきだわ」
……勘弁してくれよ
「……」
「……」
「…………わかった、わかりました。持っていけばいいんだ…………いいんですよね」
僕はしぶしぶ折れるハメになり、栗原の指導のもと、僕はたった一人で荷物を持って階段を何度も往復することになった。
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