平穏な日常の終わりと波乱な日常の始まり

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愚父の話をまとめると、まず入院した理由は交際してる女性とは別にもう一人交際していて運悪く街中ではち合わせてしまって、二人から刺されたということみたいだ。 幸い傷はそこまで深くなく急所を外していたようで大人しく療養してれば問題ないとのこと。 「うん、自業自得だね」 「ふっ……罪づくりなイケメンだよな俺も」 このオッサン、歳は四十越えてるくせに外見は二十代だからなあ……この通り愚父は浮気が趣味のようなもので、十年前についに母さんに愛想をつかれた。 『いい?晶はこんなクソにも劣るようなクズに育たないで……お母さんとの約束よ』 ……家を出て行く前の母の最後の言葉だ。 「そのまま出血多量で逝っちゃえば良かったのにねっ」 僕が(満面な)笑みでそう言うと、父さんの顔が青ざめた。 「ふえ!?!ね、ウソだよね?!これは息子が照れ隠しに使うブラックジョークという名のツンデレなんだよね?!そうなんだよね!」 「用事がないなら僕帰るけど」 あ、父さんが涙目だ。 「うぇっうぇっうぇっうぇっうぇっうぇっうぇっ」 否、すでに泣いていた。しかも…なんか呪われそうな嗚咽だ。 「……いやだな父さん、冗談に決まってるじゃないか。父さんが死んだら悲しいに決まってるじゃない………………こんなのでも一応家族なんだし」 「おお……!!晶よ…!お前はなんて優しいんだ…!」 今度は感涙だった。 「じゃあ僕本当に帰るから――」 「まあ、待て晶」 ちっ…… 「……実はな」 父さんはついさっきのふざけた泣き顔から深刻そうな顔でシリアスな雰囲気を纏いながら重々しく口を開いた。こういう時は大抵父さんがマジな時だ。 僕は父さんの次の言葉を息をのんで待った。 「息子よ。お前に海よりも深い大事な話があるんだ。実はな……澄香はお前の姉じゃないんだっ」 …………はい?
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