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―しゅこしゅこ
「……」
僕はいつもより念入りに歯を磨きながら鏡に映る自分の顔を見つめた。←少し冷静になった
『あき君…』
(……う)
姉さんのことを考えると、それだけで鏡の中の僕の顔が真っ赤に染まる。
なんというか……初夜を迎えるというのはこういう気持ちなんだろうか……
すごく胸が高鳴っている。今さらながらこんなんでよく誘えたもんだなと思う。
……まあ、姉さんとは時々一緒に寝ることはあるが、それは大抵姉さんがべろべろに酔った時で――
『やだぁ!あき君はお姉ちゃんといっしょに寝るんだもんっ!』
『姉さん、とりあえず水を飲んで落ち着いて……』
『そう言ってあき君はお姉ちゃんを一人で寝させるんでしょ!?やだやだやだぁ!いっしょに寝るもん!いっしょに寝るんだもん!あき君といっしょに寝るのー!!』
酔っ払った姉さんは駄々っ子のように幼児化するから一緒に寝ても、ムードもへったくれもない。
「がらがら……ぺっ」
歯磨きを終えた僕は二階の姉さんの部屋に向かった。
―ガチャ
「あ……」
ドアを開けると、ベッドに座る姉さんと目が合った。
「…………」
「…………」
「……明日も学校なんでしょ?私も仕事だし…早く寝よ?」
「あ…うん、そうだね……」
姉さんは先にベッドの中に入った…僕が入れるように右寄りに詰めてくれる。
姉さんのそんなさり気ない配慮に僕はドギマギしながら部屋の明かりを消して、ベッドの中に潜り込んだ。
―むに
こ…この感触は……!
「ひゃあ!?だ…あき君…そこはぁ……」
暗くてよくわからないが……姉さんの声の位置から察して、この右手に触れてるのはたぶん姉さんのおし――
―むくむく
「…!!」
ヤバい!もう一人の僕が主張し始めた……!
「呼んだ?(もう一人の僕)」
「呼んでないからっ!」
「…ふえ?」
暗闇に目が慣れたせいで姉さんの色っぽい表情が見える。
―むくく
「…やっぱり呼んだ?(もう一人の僕)」
呼んでないってば!引っ込めばかやろう!
「…?なんか硬いのが足に……」
ひい!
マズい……今の僕の状態を知られたら――
『へえ…あき君ってば血のつながった姉に興奮する変態さんなんだ。お父さん並みに救えないね』
それだけは勘弁だ!
ええい、こうなれば…
「おやすみ姉さんッ!!」
僕は姉さんの部屋から撤退した。
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