233人が本棚に入れています
本棚に追加
―ジリリリリ!
「……」
けたたましく鳴り響く目覚まし時計に起こされ、僕は寝ぼけ顔のまま洗面台に向かい顔を洗ってリビングに入る。
『先に行くわねBY澄香』
書き置きと共に、朝食が用意してあった。
……はー、昨日はもったいないことをしたなぁ……
僕は目玉焼きをくわえ、制服に着替えながら昨日のことで後悔していた。
いや、しかし……あのまま一緒に寝ていたら僕の理性が保っていたかどうか……
まあいい。
また機会は来るさ←確証のない自信
着替えを済ませ、朝食も平らげた僕は学校に向かった。
早くもなく遅くもない時間帯……僕が通う学校が見えてくると、同じ学校の生徒もちらほら…
正門を通ろうとした時だった。
「晶~!」
遠くから僕を呼ぶ(男の)声がする……さて
1 待つ
2 聞こえなかったふりをする
「……」
僕は正門を抜けて、下駄箱に向かった。
―がしっ
「なんで無視するんだよっ!?」
上履きを取り出したところで肩を掴まれた。
「…え?ああ、すまん。気付かなかった」
「そうか。それなら仕方ないなっ」
そう言って高らかに笑う男。男の名は雲平 鉄平(くもひらてっぺい)……認めたくないが、僕の数少ない友達だ。そして、こいつは重度の妹、ロリマニアで実の妹に欲情する変態だ。
「そんなことよりも晶!一大スクープが――」
「鉄平、教室に行くぞ」
僕は鉄平の話を遮って進んだ。鉄平の話は長いから、下手したらホームルームに間に合わなくなるかもしれない。
鉄平も過去の体験を思い出してか、大人しく僕の後についてきた。
「そして晶!一大ニュースが――」
「晶ー」
―だきっ
「ぐはあ…!?」
教室に入った途端、鉄平が喋りだしたかと思ったら、またしても鉄平の話を遮るように僕の横腹に衝撃がきて、僕は床に倒れ込んだ。
弾丸のように突っ込んできたのは高梨 有紀(たかなしゆうき)だった。
「えへへ~…晶、おはよう!」
決して広くはない僕の胸板の上で有紀は人懐っこく満面の笑顔を浮かべる。
……教室の入り口で僕が有紀に押し倒されてる状況……うん、すごく目立ってる。
男子からは焼き殺さんばかりの嫉妬の視線を受ける。
逆に女子は黄色い歓声を上げているではないか。
最初のコメントを投稿しよう!