幼なじみな僕ら

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そんな小さなことを変化だと感じるのは、僕の思考が鈍くなっているからだろうか?刹那、不安になり、だけど、 「……うん。そうだね」 由奈の肯定に安堵する。お互い様な僕らだ。由奈がそう思うなら、眠さなど関係なく、僕にとってもそうなんだろう。 その安堵が、言葉の背中を押してくる。意識も身体も眠りの底に沈んでいくのに、言葉だけが軽やかに、無意識に、解き放たれていく。 どこかに、ずっとあった僕なりの答え。見つけてもらえずじっとしていた鬱憤を、今ようやく晴らそうとせんばかりに。力強く、飛び立つような爽快感を伴って。 「無理して、関係を変えようとしなくても」 お互い様な僕らなら。 お互いの気持ちを知っていて、お互いの望む関係を知っていて、お互いにそこを目指す気持ちがあるのなら。 「きっといつか、自然にそう変わっていくと思うんだ。今みたいに」 膝まくらなんて、些細なことだけど。それだって変化だと、望む関係に一歩近づいたのだと、そう信じる。 「……うん」 僕の長い語りに、由奈が返してきたのはそんな呟き一つだった。 もっとなんか言えよ。そう思ったけど、もう限界だった。眠りに抗う意思が根こそぎ奪われて、沈む速度が急加速する。 「おやすみ、るーくん」 その言葉に、頷けたのかどうかも分からないまま意識が落ちていく。 あぁ、それにしても。思わぬ形で、悩みの種を解消してしまった。眠さでろくに考えられない状態で、適当に喋っただけなのに。いや、だからいいのか? いずれにせよ、目下の心配事項は目を覚ました時、今のやり取りを覚えていられるかどうかということで。 「るーくんが……関係を変えていってくれるの、楽しみにしてるから」 ちょっとだけ、恥ずかしそうに呟かれた由奈の言葉。その意味を理解するより前に――とうとう僕の意識は、眠りに呑まれたのだった。
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