幼なじみな僕ら

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幼なじみな僕ら

* ――鈍い主人公っているじゃないか。漫画とかドラマとかラノベとかでよく見るタイプの、自分に向けられてる好意に気づかないってやつ。 ひどいやつだと、自分がヒロインを好きってことにすら気付かないやつとかね。僕から言わせてもらうと、どんなだよって話だ。 だってそうだろう。普通、相手から好意を向けられてたら、気づく。それに、自分の気持ちに気付かないっていうのも変な話でしょ。 だから、そんなことは現実では多分無いだろうし、少なくとも僕と由奈の間ではありえない。 僕は由奈が好きだし、由奈は僕が好きだ。恥ずかしい言葉を使うなら、相思相愛であることをお互いに知っている。 でも、不思議なことに僕らの関係は、世間で言うところの恋人ではない。 僕も由奈も、取り分け告白ってのをしてないし。こう、互いに好きなのを知ってるからこそ、今さら感があるっていうか。 まあ、告白しようとしたこともあったけど……その度に、それで何が変わるのかとか考えちゃって。結局、特に今の関係を変える必要もないかとか納得しちゃうんだよね。 でも、たまに不安になる時がある。本当に僕らは、変わらなくてもいいんだろうかと。 取り分けなにもしなくても、ずっと一緒にいた僕たち。それが自然で、だから、これからも一緒なんだろうと、そう思うことは……あまりに、無邪気すぎる気がする。 今の関係に甘えていていいのだろうか。思い、だけど、変えることにもためらいがある。 お互い様な僕らだから、きっと、由奈も似たようなことで悩んでるんじゃないだろうか。
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