幼なじみな僕ら

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――とまあ、そんな微妙な悩みはありつつも。 「うわー、うわー、うわー!」 「すごいね、はしゃぎかたが子どもより子どもっぽい」 「な、何に対して『すごいね』を使ってるのっ!?貴重な『すごいね』は、この美しい景色に使いなよっ、私みたいに!」 ありつつも、ひとまず今こうして、一緒にいるということは事実で。 ――それにしても。 「え、いま由奈、すごいねとか言ってないよね?」 結局あの後、行く場所が思い付かなかった由奈の代わりに僕が提案した河原にやってきたんだけど…… 「感嘆詞だけだったよね?……ていうか、うわーしか言ってないよね?」 「分かってない、分かってないよるーくん!あのうわーにはね、私渾身の、会心の万感の、すごいねが込められてたんだから!」 「……ふーん、そうなんだ。へぇ……」 「流されたっ!」 いやだって、ねぇ?幼なじみの経験から言わせてもらうけど、由奈理論に付き合ってたらキリが無いし。だから、ちょっと前に由奈が口にした、『貴重なすごいね』という不思議な言葉にも突っ込まないのだ。すごいねは回数制なのかとか、結構頻繁に使う言葉だけどなにをもって貴重なのかとか、間違っても突っ込まないのだ。……つ、突っ込まないぞ!
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