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不意に意識がはっきりとした
目をゆっくりとあけると天井が見えた
もちろん身体はコンクリートの上ではなく、どうやら僕はベッドの上で眠っていたようだった
あれは、全部夢だったのか……?
それにしては生々しい
車に跳ねられた衝撃も、地面に叩きつけられた痛みも覚えている
それにここは……何処だろう
軽く部屋を見渡すが、まったく記憶にない場所だ
ベッド、タンス、机など、家具はいろいろと設置されているが、その中にこの部屋の主を特定するものはおいていなかった
ガチャ
ドアが開く
部屋に入って来たのは見たことのない女の子
年はまだ中学生くらいで、髪は長く腰くらいまである
頭に大きな黒いリボンを着けている
そして珍しくも髪の色は綺麗な金髪で、目は深い紅い色をしていた
顔立ちも整っていてかなり可愛い
まるで人形みたい……と思っていると女の子が話しかけてきた
「おい、目が覚めたようだな」
見た目に反して高圧的に話しかけてくる少女はそのまま歩いて僕が寝ているベッドに腰掛けた
「君は誰?ここは……ん、あれ?」
何だか喉の調子がおかしい
裏声を使ってるとかそんなのではないのだが、声が高く感じる
「私の名はアリス。そしてここは私の家だ。お前、自分に何があったか覚えているか?」
「……交通事故にあったんだ。ほんとに重症で、もう助からないようなレベルだった。でも僕がこうして無事ってことは夢だったのかな」
そう、助からない筈だった
それぐらい致命傷を負ったんだ。それでもこうして五体満足でいられるということは、やはりあれは夢だったんだろう
それに……
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