第四話

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 転移した先は、あの3人が所属していると把握でわかっていたギルドの真正面――ではなく、それがある街らしき所の門。 別に転移禁止がされているわけでもなく、例えされていてもフェイスには無関係なのだが、後々面倒だと思い、門の前に転移したのだ。 彼がしばらく歩くと、大きな門の中に人1人が通れる程度の門がある大きな壁と近くに立つ門番らしき鎧姿の人物が2人目に入った。 それを見て何かひらめいたらしく、フェイスは自分が傷だらけに見えるようにする。 そんな彼が門ギリギリまで近づくと、門番はようやく口を開いた。 「っ! どうしました? 森の魔物がまた襲ってきたのですか!?」 『また』と聞き、フェイスは一瞬固まった。 ここが街ではなくワイルドベア達が言っていた村だと確信し、わざと慌てた様子で口を開く。 「そうなんです! ワイルドベアに襲われて!」 「わかりました、中にお入りください。 ギルド『聖なる日』に我々門番の医務室が併設されております」 そう言い、門番は小さい扉を開けた。  フェイスは村に入り、辺りを見回す。 見慣れない字ばかりだが、彼には何故か読めた。 ギルド『聖なる日』を見つけ、彼がそちらに近づくと偶然出てきた少女と目が合う。 先ほどフェイスが森で見かけたヒロイン2人の姉の方だ。 彼女だとすぐ気づき、彼は口を開く。 「あの、医務室はこの中ですよね?」 「――あ、はい! お入りください」 そう言って、彼女は扉を押さえた。
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