第一話

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 そんな誠を見て、邪神は一言『……無理して驚かなくても良いよ』と呟いた。 それを聞いて落ち着いた様子を見せた彼は邪神にいくつか質問を投げ掛ける。  彼が尋ねたのは5つ。  1つ、元いた世界での自分の存在はどうなったか。 尋ねた直後、邪神はとある映像を見せた。 ――彼の、葬式だ。 どうやら『元からいなかった』等の都合の良い事は起きていないようである。  2つ、彼は転生できるのか。 これは誠が望めばいつでも良いんだそうだ。 望まない相手を転生させるようなパターンでは無いらしい。  3つ、転生先に魔法はあるのか。 もちろんあって、皆が使えるそうだ。 魔盲という存在は稀で、故にいたら散々な扱いを受ける。 属性という概念は無く、魔法はあくまでも『想像を具現化させる物』だそうだ。 つまり、強いと言われる者はその想像が細かい上に丁寧という事らしい。  4つ、何故邪神が普通に存在しているのか。 これは、世界の均衡を取る為に、先程の会話に出た『管理神』が役割を作ったそうだ。  そして5つ、どうやって誠に力を与えるのか。 これには、彼にとって興味深い答えが帰ってきた。  誠は、今実体があると思っていたが、これは魂だけの姿だそうで、この魂を力を持つ体に植え付けるらしい。 魂を植え付ける先は、『七大魔王であるサタン直属の部下』だそうだ。 「……強くね?」 『チートでは無いから問題無いさ。 まぁ本気を出せば、主人公位なら指一本かもね』 「いやそれはチートだろ!!」 サラリと言って退けた邪神に、誠は思わずツッコミをいれる。 「じゃあ魔王ってどんだけ強いんですか……」 『その体に入った君レベルですら、ボロボロにするかな』 邪神の言葉を聞いて誠は唖然とした。 (そんな存在を倒そうとする英雄って、そんな事も知らない英雄って――) 「『バカだ』」 彼が思わず口にした侮蔑の言葉は、邪神と同時に出ていた。
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