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「へい、お嬢さん。コロッケ安いよ~」
コロッケ屋さんの店員に声を掛けられ少女は足を止める。
無言のまま立ち止まっていると店員が話し始めた。
「お嬢さん、どっから来たの?この辺じゃ見かけないけど」
店員は今揚げたばかりのコロッケを袋に詰めながら言う。
「…オジサンの言う通り、私はこの辺には住んでないわ」
「アハハハ、そうかい。ほら、コロッケサービスだ」
笑顔でコロッケの入った袋を差し出す店員。
少女は無言で受け取って出来たてのコロッケを口に運ぶ。
その様子を店員はジーッと見る。
恐らくこのコロッケの感想を待っているんだろう。
「……美味しいわ、ありがとう」
少女はクルッと店員の方を向き笑顔で言った。
「どうもね。そういやお嬢さん外国人かい?」
店員がそう言うのも分かる。
金髪のツインテールに青い瞳、そして腰には鞘に入った剣。
「腰に差してるのって剣かい?ここは日本だから警察に捕まっちゃうよ」
そう言ってまた店員はコロッケを揚げ始める。
「……ご忠告、どうも」
誰にも聞こえないような小声で言い、フッと微笑んだ。
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