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「あのね……」
由梨はゆっくりと切りだす。
「二次会でカラオケに行って」
よくあるパターンだ。
大学に入学してまだ間もない頃に参加した合コンでも、二次会はカラオケへと流れることが多かった。
そして、二次会でひと組、またひと組と、人数は減っていく。
その前の一次会で早々にいなくなる男女もいたけど、二次会で抜けていく男女も少なくはない。
となると、由梨も二次会で美馬翔太とこっそりいなくなったパターンだろうか。
それなら、友人として盛大にお祝いしてあげようじゃないの。
そう考え巡らせていたんだけど――。
「本当にたまたまなんだけど、美馬翔太と帰り道が一緒になってね」
目が点になる。
ええ、と大きな声を上げると、そこ、静かにしなさい、という教授の叱咤する声がすぐさま飛んできた。
由梨とのおしゃべりに夢中になりすぎて、今が講義中だってことを完全に忘れていた。
声をひそめて続ける。
「帰り道? お持ち帰りされたんじゃなくて?」
「そんなことされてないわよ。美馬翔太って意外と真面目でしょ?」
由梨に同意を求められて、曖昧にうなずく。
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