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美馬翔太のことの何を知っているというわけではないから、真面目かどうかは知らない。
けれど――女子からの人気をあれだけ集めた人物が、誰もお持ち帰りせずに帰路につくなんていうことが、現実的に起こりうるのだろうか。
合コンでの彼の印象だけでいえば、女の扱いは手慣れているふうに見えた。
あれはかなり遊びまくっていると思ったんだけど、気のせいだったのだろうか。
由梨の話す彼と、私が合コンで見た彼のイメージがあまりにもかけ離れていて、釈然としない。
「で、メールしてるの?」
「もちろん。ここんとこ、毎日のようにメールしあってるよ」
由梨の顔からは幸せオーラが滲み出ている。
好意を寄せる相手と恋人とは行かないまでも、1歩前に進めた喜びが全身から発せられている。
由梨が幸せそうなら、それでいい。
友人の恋にどうこう言うつもりは、はなからないのだから。
私が見た美馬翔太はあの場限りだ。
本当の彼は案外、誠実なのかもしれない。
「……でね」
頬を赤く染めたまま、由梨は口を開く。
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