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「何よ? 急に改まって」
いきなり口調を変えた由梨に、とてつもなく嫌な予感がする。
「お願いがあるんだけど」
「お願い?」
「4人で遊びに行かないかって誘われてるの」
「もしかして……美馬翔太から?」
由梨はこくこくと首を振る。
話の流れから考えて、美馬翔太以外には考えられない。
でも、4人の顔ぶれって誰だろう。
美馬翔太と由梨と、まあ、私も入れておくとして、もう1人は?
だけど、美馬翔太が言いだしたというのが、どうも気になる。
由梨をダシにして、べつに女を引っかけようという魂胆か?
いや、いくらなんでも美馬翔太がそこまで考えるだろうか。
でも、得たいが知れないのは確かだ。
私が美馬翔太に引っかかるわけはないと自負できる、けど。
かといって、男と遊びに行きたい気分にはなれない。
そんな気分にだけは到底なれない、のに。
「ちょっと考えさせて」
「なるべく早く返事ちょうだいよ」
美馬翔太と遊びに行きたがっているのを、由梨はこれぽっちも隠そうとしないで、上目遣いでかわいく急かす。
鬱々と首だけをなんとか縦に下ろした。
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