pain 01 封印の影

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携帯が砂川くんからの着信を告げる。 メールのやりとりが多かったのに、着信なんて珍しい。 そう思いながら受話ボタンを押す。 「もしもし」 『こんばんは。今、大丈夫かな?』 「大丈夫ですよ」 冒頭に律儀に都合を確認してくるあたり、礼儀の正しい人だ。 メールのやり取りでもそうだけど、砂川くんからはタメでいいと言われている。 だけど、ひとつ上というのをどうしても意識してしまって、いまだに敬語から抜けだせずにいる。 『まだ敬語だね』 「すみません」 『いいけどね、べつに』 砂川くんは電話越しにけらけらと明るく笑う。 『でさ、聞いた、かな? 友だちから翔太と遊びに行こうって話』 やっぱり、と思う。 4人目は砂川くんだろうというのは、かすかに予感がしていた。 美馬翔太の友人を考えた場合――彼の交友範囲など知るよしもないけど――合コンに誘うくらい仲のいい彼だろうと、彼であればいいと、そう思っていた。 「ええ、今日。でも、どうして相手が私だって知ってるんですか?」 いたって大真面目に訊いたつもりだったのに、いきなり砂川くんが大声で笑いだす。 何もおかしなことは言っていない、はず。
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