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怪訝に首をひねりながら、砂川くんの笑いがおさまるのを待つ。
ひとしきり笑ったあとでようやく砂川くんは切りだす。
『べつに知ってるわけじゃないよ。俺、そんな予知能力ないし。まあ、強いて言えば……』
「強いて言えば?」
『俺の希望的観測ってところかな』
まただ……。
メールの本文にしろ、会話の間にしろ、好意をさり気なくもはっきりと挟んでくる。
返ってくる言葉をある程度予測できているのに、それでも訊いてしまう私はタチが悪いのかもしれない。
伝えられる好意は本来ならありがたく受け止めなきゃいけないのに、できないとわかっているのだから。
私の気持ちが、誰かに傾く気配は、ない。
『それで、どうするの? 行くつもりなの? 寧々(ねね)ちゃんは』
「私、ですか……」
『寧々ちゃんが行くなら、俺は絶対に行くけどね』
「今日、由梨――あ、一緒に行く友だちなんですけど、由梨に誘われたんですけど、まだ決めかねてて」
『何か用事でもあるの?』
「そういうわけじゃないんですけど……」
語尾はもどもごと口ごもってしまう。
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