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互いに自己紹介をしあって、2人の名前を知ることになる。
由梨好みのイケメンくんは美馬翔太(みま しょうた)で、笑顔はにかみくんは砂川圭介(いさがわ けいすけ)とそれぞれ名乗った。
女子の断トツ人気は、やはり由梨がタイプだと言った美馬翔太だ。
私以外の女子がすべて美馬翔太に質問責めをして、美馬翔太は本当は当惑しているだろうに、1人1人に親切に接している。
なるほど、イケメンくんは女子に分け隔てなく優しいのか。
優しくされたら、私に気があるのかも、と女子は誤解してしまうだろう。
なら、道理でモテるわけだ、などと冷静に分析してみる。
由梨はこのままじゃ、私、やばいかも、と顔を真っ青にしている。
こういう時、率先してアピールできないのが由梨だ。
せっかくの席替えタイムでお目当ての彼の隣に座っても、そのチャンスを活かし切れず、後手、後手と回っているうちにお開きとなるパターンが多い。
合コンでの連敗が続いていることは、本人が一番痛感しているところだろう。
美馬翔太にも砂川くんにも、いや、男性陣全員に興味の持てない私は、座敷の片隅でウーロンハイを何度も注文しているだけだった。
やっぱり、私にはほかの誰かを好きになることはできないのだ。
そんな諦めにも似た気持ちを胸の奥に呑みこみながら。
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