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とはいえ、さすがに飲みすぎたようで、お手洗いへと席を立った。
みんなのいるところに戻ろうとしたところで、ぎょっとして立ち止まる。
壁際に笑顔はにかみくん、ならぬ、砂川くんがもの静かそうに立っていたのだ。
座敷わらしか、君は。
彼としては、私を驚かせようという気はさらさらなかったのかもしれない。
ごめんごめん、としきりに謝る。
でも、まさかいるとは予想だにしていなかった私は、必要以上に驚いてしまって、わあ、とか、ぎゃあ、とか奇声を発しながら飛び跳ねて後ずさる。
まったく、びっくりさせてくれるな。
まだ早鐘を打つ心臓をなんとか鎮めようとするも、なかなか収まらない。
ようやく落ち着きを取り戻しかけた時、彼がぺこりと頭を下げてきた。
素早くあたりを見回すものの、誰もいない。
どうやら私に会釈をしたらしいということを解して、軽く頭を下げる。
「えっと、栗見(くりみ)さん、ですよね」
「はあ、そうですけど」
彼の意図が読めず、曖昧に返す。
「俺、実は合コンとかって初めてで。俺の隣に座ってた翔太って覚えてます? そいつに誘われてついて行ったら、こういう場所で」
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