pain 02 堕罪の夜

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かろうじて空いていた壁際のテーブル席を確保して、コピーしたばかりの用紙を整理しながら並べていた手が止まる。 圭介くんと、由梨と、美馬翔太という奇妙な組みあわせで出かけて以来、初めて顔を合わせる。 2人きりにして残したあと、どうなったのか、面白半分で訊いてみた。 それが意外な顛末だった。 手はなんとか握ったものの、キスには至っていないという。 キスどころか、情事にまで及んでしまった私はどうなる。 いや、スピードが云々言うつもりはない。 見るからに、女と遊びまくっているであろう、あの美馬翔太が手を握っただけというのは、どういうことだろう。 それがおかしい。 まったくもって不可解だ。 謎が深まるばかり。 「どうしてよ? なんでよ?」 「んー、なんでだろう」 わかんないよね、と閉口する。 途方に暮れているようだ。 たぶん、由梨もキスくらいまでなら許す気でいたのだろう。 唇同士を触れあわせるキスが境界線。 それ以上を求められたら、早急な印象を受ける。 あの美馬翔太なら、手を出しかねないだろうけど。 「由梨としてはどう思ってるの?」 「どうって?」 「美馬翔太の彼女になりたいかってことよ」 「それはもちろん」 でもなあ、と唇を尖らせて、アイスカフェモカの入ったプラスチックのカップに指を伸ばす。
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