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一番最初にこの想いをはっきりと自覚したのは、いつだっただろうか。
そんなことなど忘れるくらい、焦がれるようになっていたと気がついた時には、もう手遅れだった。
歯止めの利かない想いは募るばかりで、その切なさと向きあうことを一度は拒もうとした。
なぜなら、私の好きになった相手は、司(つかさ)――弟だったのだ。
実の弟ではない。
父は私が10歳の時に再婚した。
つまりは、私にとっては義理の母で、その時に義理の母が一緒に連れてきたのが司だった。
2歳違いの司は出会った時は8歳で、当然、恋心など抱くはずがない。
でも、司の母は美人と呼べる部類の人で、こんな人なら引く手あまただろうし、決してかっこいいとは言えない私の父とよく再婚したものだ、と子どもながらに感心した記憶がある。
司はそんな母のいいところだけを上手く引き継いだと思えるくらい、思春期になる頃には背がぐっと伸びて、整った容姿を兼ね備えるようになっていった。
こんなかっこいい弟を持つことができて姉としては鼻が高い、と誇らしく思っただけだったのに。
いつしか、恋心が芽生え始めて、そして、私を苦しめるようになるまでは。
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