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いくら血がつながってないとはいえ、私と司は戸籍上は姉弟(きょうだい)なのだ。
この、姉弟という響きは私の上に容赦なく重くのしかかった。
認識すればするほど、こんな形で司と引きあわせた父を恨んだ。
もし、父が再婚しなければ。
もし、母が司を連れていなければ。
もし、もっと別の形で司と出会っていれば。
たくさんの“もし”が私に降りかかっては、それがもう無意味な仮定でしかないことを悟っていった。
せめて、大学を遠くのところを選んで、家を出るなりすればよかったものを。
それができなかったのは、想うだけでもいい、できるだけ司のそばにいたいという私の願いだったのかもしれない。
司はその容姿のおかげもあってか、モテているようだった。
中学の頃から彼女はいたようだ。
街なかで見かけるたび、いつも違う女の子を連れて歩いていた。
司への想いを心の奥底へと封じこめる代わりに私ができることといえば、ひとつ屋根の下で暮らすという、姉が持つ特権を最大限に活用することだけ。
――それが、地元の大学に進学することだった。
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