傘が連れてきた恋

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……きっと相合傘なんて思っているのは私だけなんだろうな。 なんでもない涼し気な顔で隣に立つ彼に安堵と落胆を覚える。 時折ぶつかる肩と肩に緊張するのも、こんな風に意識してしまう自分も、何だかやけに子どもみたいに感じられて何だか悔しい。 私は全然慣れてないから、こういうの一つ一つに心が動いてしまうのに。 「なんか、大人って感じですね」 「えっ、突然なに??」 そんな風に、さりげなく気遣いができちゃうところが。 「俺結構おじさんぽいかなー?」とか的はずれなことを言いながら、ゆっくりと歩幅を合わせて歩いてくれる彼の横顔を見る。 こういうところは鈍いんだ、なんか変なの。 「パソコンとかレポートとか、なんか響きが大学生って感じで。なんか難しそうでちょっと未知なイメージです」 本当のことを言う勇気はないから、それっぽい理由をとってつける。 「そう?ただレポートって名前だけだよ。調べ学習って感じ。知ってた?期末試験もさ、科目によっては教科書持参オッケー、なんてものもあるの」 思わずえーっ!と声をあげたら、高校生からしてみればちょっとずるいよな、と彼は笑った。 そういえば、私と彼はいくつ歳が違うのだろうか。 大人になってみれば3つ4つ違ってたって歳なんか離れてないように思うもんだ。 いつだったか、母はそんな風に私に言って聞かせたことがあった。 だけど私は高校生で、彼は大学生。 私からしてみたら、中学生は私達と比べたら随分子どもだったように思うし、大学生なんてお酒も飲むようになって一人暮らしをする人もいて、もう立派な大人のように思う。 だって、私の知らない世界を沢山知っているんだから。
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