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私は結局、先輩に送ってもらうことになり、今隣同士で歩いている。
「あの…」
「ん?」
先輩は何食わぬ顔でこっちを見てくるけど、あきらかにおかしい今の状況。
「なんで手を繋いでるんですか!」
そう。何故か生徒会室を出てからずっと、碧先輩は私の手を握っている。
恥ずかしくて、パニックになって手を解こうとしたけど、ぎゅっと握られている手は簡単には解けなかった。
「莉子が迷子にならないようにだよ」
くすっと笑って答える碧先輩に一瞬見とれてしまう。
「もう!からかわないでください!!」
「ごめんごめん。俺が莉子と繋ぎたいだけだから」
くすくすと笑っていた碧先輩は急に真剣な顔になるから、心臓がドクンと波打つ。
……でも、私は碧先輩と手を繋ぐことは嫌じゃなかった。
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