3403人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか……なら、泣き止んだら方法を教えてやるよ」
「うん……はぁー……ヨシ!」
だから、オレにとって、こいつはオレの良心なんだ。
こいつだけがオレを止めてくれる。
こいつだけがオレに人間としての境界を教えてくれる。
「これは、水と光の混合魔術。流水は悠久に流れる時の象徴……光はそれを逆流する意志の象徴だ。イメージしろ、お前は時の流れに逆らい、その女を救う。……いいか、唱えろ……【ターン・ストリーム】」
「【ターン・ストリーム】ッ!!」
勇の肩に手を添えた、魔術の発動を援助するためだ。
魔力の流れを安定させて、足りない魔力を補ってやる。
この術の代償である『命』も、オレので支払ってやった。
その程度のことで、オレは死なないからどうでもいい。
今はただ、勇の願いを叶えてやることだけが重要なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!