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暫くして犯人たちも捕まり、騒動もひと段落すると飛燕たちは部屋を変え、夜闇と椿を接客した。
「「さっきは助けに来てくれて本当にありがとうございました」」
飛燕と小夜は改めてお礼を言った。
「礼には及びません、二人とも怪我がなくて良かったです。あとで皆で桜太夫の見舞いに行きましょう」
「はい!」
夜闇は浮かない顔をしている飛燕に話しかけた。
「浮かない顔をしてどうかしたのか?」
「いえ、ただ・・・さっきの男たちの言葉が引っかかってて」
「たかだか”売り物”のくせに、か?」
「・・・はい」
飛燕は頷いた。
「店で働いてる間は一応売り物として扱われるけど、人は売り物じゃない。こういう店で働いてる皆はやってきた客に夢を売るのが仕事だから仕方ないけど・・・でも」
静かに話を聞いていた夜闇は飛燕の言おうとした事を悟った。
「遊郭で働く者は皆、客に夢を売るのが仕事であって売り物ではない」と。
「そうだな・・・お前も男一人でよく頑張ったしな」
話に納得した夜闇は飛燕の頭を撫でた。
飛燕は驚いたように顔を上げた。
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