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飛燕が小夜の口を塞ぐのと他の店の花魁たちの視線が向くのはほぼ同時だった。
「あはは;なんでもないです;」
飛燕は苦笑しながら誤魔化すと「すいません;」と謝り、小夜と部屋の中へと姿を消した。
一方、店先では、
「なによあの子、いい子ぶっちゃて」
「そうそう、一応花魁だけど花魁じゃないくせに」
他の花魁たちがブツブツ呟く中、夜闇と椿は何かを話し合い、どの店にするか決めた。
「すまないがどいてもらえるかな、今日はあの店に行くのでね」
そう言い、目の前にある『桜吹雪』の店を指差す。
「えぇ~!あの店よりウチの店に来てくださいませ~!」
「いえ、ウチのお店に!サービスしますから!」
「悪いな、もう決めたんでな」
「では失礼」
二人はまだ「えぇ~」と言う花魁たちを後に『桜吹雪』の暖簾をくぐった。
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