第一章 プロローグ

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翌日、いつもより表情が固い俺にクラスメイト達は何も言わず普通に接してくれていた。 俺たち高校生は悩みやすい時期なんだ。みんなそれを知っていて察してくれたのだろう。 高校生特有の意志疎通なのかもしれないな。 キーンコーンーカーンコーン 四時間目の授業がおわった。 チャイムと同時に閉じていく教材を見て眉間にシワをよせる中年のハゲ。 自分の授業が退屈だと思われるのが嫌なんだろう。 安心してくれ先生、十分暇だ。 「では、今日の授業をここまでにします。しっかり課題をしてくるように。はい日直」 そう呼ばれて今日の日直が号令を言う。 「はい。起立、気をつけ、礼」 「「「ありがとうございました」」」 『ありがとうございました』 これを言うのは、うちの学校のしきたりである。 礼に始まり礼に終わるそうだ。 しかし、肝心の礼を言う生徒の声に覇気がない。もちろん俺もだけど。
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