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序章
計り知れないほどの死者の中央に、ただ一人の男がたっていた。
その腕には、男が愛した女の亡骸があった。
死者への悲嘆、
傷つき消えることのない悲嘆、
醜い焔の悲嘆、
故郷を滅ぼされ暴行、
略奪され強制労働につかされ、
不正と拷問、
飢えと貧窮に悩まされた悲嘆、
また何か大切なものを失うのではないかという恐怖による悲嘆、
心から愛し守っていこうと思っていた全てを失った悲嘆……
こうした悲嘆が男を包んでいる。
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